「ここは禁煙です、喫煙所は向こう側にありますからそちらで吸ってください」

「悪い、悪い、名前なんて言うんだ?」

「総務部の立木みゆです」

「総務部?この会社の社員か……みゆ、可愛い名前だな」

彼にニッコリ微笑まれて不覚にもドキッとしてしまった。

「あなたは?」

「俺?桂木廉也、よろしく」

(桂木廉也?まさか社長?うそ、どうしよう)

私は恐る恐る聞いてみた、どうか同性同名でありますように……

「失礼ですが、社長でいらっしゃいますか?」

「ああ、そうだよ、今日からね」

(あ~私なんてことを……どうする、どうする、もう明日からニートだあ)

「どうかした?顔真っ青だけど……」

「あのう、私、失礼なことばかり言ってしまって申し訳ありませんでした」

「ああ、別に気にしてないから大丈夫だよ」

(社長の声が遠くに聞こえる、なんかふらふらする、ああ、もう立っていられない)

次の瞬間、社長は私を支えてくれた。

「大丈夫か」