(また唇が重なった、もう私蕩けてしまいそう……駄目だ、このままでは廉也さんが一緒じゃないと生きていけなくなっちゃうよ、どうしよう)

「あのう、社長……ずっと聞きたかったんですけど、以前会ったことありましたか」

「ああ、俺達、休憩室で会ったのが初めてじゃないんだ、一年前、駅前の喫茶店で、会社の役員と打ち合わせの為待ち合わせしてた時、みゆは窓際の席に座っていたんだ、ずっと一人で俯いていてめっちゃ気になったんだ」

私はまだ思い出せずにいたが、廉也さんの言うことに耳を傾けていた。

「どうしても顔が見たくて、みゆに近づいた、前の席に相席お願いした時、みゆは顔を上げて俺を見た瞬間、目に涙が溢れて頬を伝わった、その涙を見た時俺は釘付けになり、動けなくなった」

この時廉也は恋に落ちたのだ。

私は廉也さんの話を聞いて一年前の記憶が走馬灯のように蘇った。

あの時龍司さんを諦めた瞬間だった。

あれは三年前の事、私はある男性と知り合った。

橘 龍司である。