みゆはどんどん廉也から離れていく。

「みゆ、待ってくれ、みゆ」

しかし、廉也の声は届かないかのように、みゆは消えた。

廉也は目が覚めた。

目の前にはみゆがいまだに眠っている。

(みゆ、赤ん坊の様子を見てくるな、そして、お前の思いを伝えてくるよ)

廉也は保育器のある部屋に向かった。

そこにはゆかりが赤ん坊を見守っていた。

「ゆかり」

「廉也」

ゆかりは廉也の姿に驚いた。

「赤ちゃん、頑張ってるよ、声かけてあげてよ」

廉也は手続きをして、保育器の側まで近づいた。

「おい、頑張れよ、ママも頑張ってる、俺を一人にしないでくれ」

廉也は涙が止まらなかった。

それから、廉也は保育器とみゆの病室と通った。

そんなある日、みゆの手を握りながら、語りかけていると、ピクッと指が動いた。

「みゆ、みゆ、わかるか、俺だ」