みゆは東城氏に教えてもらった病院へ急いだ。

病室に入ると、ベッドに横たわっている廉也の傍には、秘書の高城が寄り添っていた。

「高城さん」

みゆの声に振り向いた高城は驚きを隠せずにいた。

「奥様、どうして」

「廉也さんから連絡が途絶えて、高城さんのスマホも繋がらなくて、東條氏に聞いたんです」

みゆは荷物を病室の入り口に置き、廉也に近づいた。

「廉也の様子はどうですか」

「はい、命は取り留めましたが、意識が戻りません」

「そうですか」

みゆの思ったより落ち着いた様子に、高城はほっと安堵した。

「連絡出来ず、本当に申し訳ありません」

高城は涙を流していた。

きっと、日本を離れて、一人で、どうしていいのかわからなかったのだろう。

高城の心労は測りしれなかったに違いない。

「先生のお話を聞いてきます」

高城はやっとみゆの体調を気遣う言葉を発する事が出来た。

「奥様、体調は大丈夫でしょうか」