(北山先生)

オートロックを解錠して、健志を招き入れた。

「みゆちゃん、体調はどう?」

「大丈夫です」

みゆのただならぬ様子に気づいた健志は、何かあったのだろうと察知した。

「みゆちゃん、何かあったの」

みゆは健志に話せば絶対に反対されると思い、誤魔化した。

「何もありませんよ」

「みゆちゃん、ちゃんと話してくれないと、大変なことになってからでは遅いんだ」

みゆはこの時、少しでも早く廉也の元に向かいたかった。

そして、心にもない言葉を健志にぶつけた。

「北山先生には関係ないことです、今の私の主治医ではないし、これ以上
私に関わらないでください」

みゆは健志の顔を見る事が出来なかった。

健志はみゆの信じられない言葉にショックを受けた。

「関係ない?」

健志は動揺を隠せなかった。

みゆの腕を掴み、言葉を荒げた。

「みゆちゃん、俺がどれほど君を思い、君のために尽力してきたか、それなのに、
君は俺に対して、関わるなと言うのか」