「まだ、そうと決まったわけじゃないから」

みゆは自分のことでゆかりと北山先生が言い争っていることに申し訳なく感じた。

「あのう、やめてください、お二人が言い争うなんてダメです」

健志は、みゆの手を掴んだ。

「みゆちゃん、俺と一緒に行こう」

健志はみゆを伴って医務室を出た。

「先生、待ってください、今、廉也さんは契約のことで、慎太郎さ、いえ、東城さんと大変な打ち合わせ中なんです、心配かけたくありません」

「廉也は心配しないんじゃないかな」

みゆは健志の言葉に唖然とした。

「今日の便なら、昨日の夜からみゆちゃんを一人にしなくていいんじゃないかな、もし、
東城氏の呼び方で嫉妬したなら、ちゃんとみゆちゃんに伝えるべきだ、その呼び方はやめてほしいって」

みゆは黙って健志の言葉を聞いていた。
「それから、ホテルから女性を共だって出てきたことだけど……」

みゆは慌てて訂正した。

「違うんです、別々に出てきたんです、一緒なわけじゃなくて」