すると「いまさらそれ言う?」と藍くんがくすりと笑って、わたしを抱きしめてきた。

笑い声が耳にかかってくすぐったい。


「そうだ、由瑠に渡したいものがあるんだ」


不意にそっと抱擁を解き、藍くんがそんなことを言う。


「渡したいもの……?」


いつの間に持ってきたのか、枕元に小さな小包があった。

それを手に取ると、藍くんが起き上がってわたしに差し出してくる。


「これ、受け取ってほしい」