すると藍くんが手を出してくる──かと思いきや、引き剥がされた。

そして呆れたような声が降ってくる。


「なんのドラマの影響だ?」


……あれ? 瑛麻ちゃん、必殺技が効かない……!


失敗した時の対処法なんて教えてもらっていないわたしは、あたふたしてしまう。


「変なドラマばっかり見てないで、早く寝ろ」


幼い子をあやすようにぽんと頭に手を置き、藍くんがリビングを出て行こうとする。


わたしは思わず、その腕を掴んでいた。