そうして藍くんが足を止めたのは、2階の端っこにある空き教室。

腕を引かれたまま室内に連れ込まれる。


「ど、どうしたの、藍くん」

「由瑠に触れたくなって」


顔をあげれば、藍くんが綺麗に微笑んでいて。


ああ、藍くんの顔を見たら体育での失態なんて一瞬でどうでもよくなっちゃうんだから、わたしは呆れるほどに単純だ。


「わたしも……会いたかったよ」


恥ずかしさを覚えながらも本音を口にすれば、藍くんがそこにあった机に腰を下ろす。

そしてわたしに向かって、手を広げた。


「おいで、由瑠」