藍くんの瞳に刹那の動揺が走り、けれどそれを切なくやるせない色が覆う。


「それは俺の身体のため?」


番になる契約を交わした"特別体質"は、それ以降発情しなくなる。


つまりわたしと藍くんが番になれば、わたしは発情しなくなり、藍くんはもう抗フェロモン剤を飲まなくて済む。


藍くんは、わたしが藍くんの身体のために、自分の将来を犠牲にすると思ったのだろう。


――けどね、それは違うよ。

その思いがちゃんと伝わるように、藍くんの瞳を見上げる。


さっきまでの緊張はどこかに消えていた。


「それもあるけど、どんなものより固い繋がりで結ばれたいの」


藍くんはさっき、どこにも行くなと言ってくれたけど、わたしも藍くんにどこにも行ってほしくない。

もう藍くんを手離したくない。

ずっとずっと、一緒にいたい。


藍くんを幸せにするのは、どんな女の子よりわたしがいい。