「この子は今日から千茅家で預からせてもらう」
そう宣言すると、藍くんは冷え切った瞳のまま、ずいっとおじさんに顔を近づけた。
そして地を這うような声で囁く。
「わかったら、もう今後この子と関わるな。この子のことを傷つけるな。俺のものに勝手に触れたら、その瞬間俺が社会的に抹消してやるよ」
「ひいっ。すいませんでした……っ!」
土下座をしそうな勢いでおじさんがテーブルに額をつく。
その隣で、焦ったようにおばさんも頭を下げる。
それをつまらなそうに一瞥すると、藍くんはこちらを見た。
ようやく瞳が交わった。
藍くんの瞳に、温度のある光が戻る。そして。
「行くよ、由瑠」
まるで暗闇から救い出すように、彼の手がわたしの腕を掴んだ。