「学校は?」

「初サボりだよ」

「は? 俺のことはいいから学校行けよ」

「いいの。わたしがここにいたいから」


きっぱり。背筋を伸ばして言うと、それ以上は無駄だと思ったのか藍くんは口を噤んだ。


持っていたハンカチを濡らして額に乗せると、苦しそうに寄っていた眉根から力が抜けて行った。

そして間もなく、耳を澄ませなければ聞こえないほどの、ささやかな寝息が聞こえてきた。


藍くんが寝たのを確認すると、キッチンを使っていいと言う密さんの言葉に甘えて、おかゆを作ることにした。

小さい頃、わたしが熱を出すと、お母さんがおかゆを作ってくれた。

藍くんもこれなら食べられるかもしれないと思ったから。