目まぐるしい展開に追い付けない。
けれど今は藍くんの看病がなにより最優先。
わたしは急いでリビングに駆け戻る。
「藍くん、大丈夫……?」
「へーき。……っていうか、ゆる」
そう言って、うつろな目の上の眉をしかめた藍くん。
「はっ、はい……!」
なにかしでかしたかと思い、ソファーの前に正座をしてお叱りを受ける準備をすると、不意にぺいっと頭を軽く叩かれた。
「おまえ、警戒心なさすぎ」
「え?」
「密に着いて、ほいほいここまで来たんだろ。でもそんな簡単に男の家に入っちゃだめだから」
「……以後気をつけます」