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文化祭当日。


私が教室に入ると、大道具の準備がある大道具班はもちろんだけど、

キャスト陣も既に全員そろっていた。


なんとなく暗い雰囲気を察し、教室の中を見渡すと萌の顔が見える。


あ、良かった。来てるなら大丈夫…

私の思考はそこで止まった。


右足と右腕の二か所に痛々しく太くまかれた包帯。

左だけで歩いていたのか、松葉杖が席の横には置かれていた。


「え…」


思わず戸惑いを露わにする私。


とりあえず席に座り、キャスト達の話し合いを横耳に聞いていると、

やっぱり萌は出演不可で、代役を決めるのに揉めていたらしい。


「あんた、出番少ないじゃん、代わりにやりなよ。」

「無理だよ、自分のセリフ以外覚えてないよ〜」

「当日仕事ない、衣装係か小道具係に頼むしかないんじゃないの?」


その声に横で集まっていた衣装係と小道具係は両手を振って否定する。


「わ、私たちは無理だよ、ほぼ台本なんて見てないし、ねえ?」


みんなに同意を求める彼女に、私も周りにいた友人もみんな揃って何度も縦に頷いた。