「た、大変!萌が怪我した!!!」


そんなタイミングに、走って教室に入って来たのは残りのキャスト陣だった。

その衣装は、ぼろぼろだったり、豪華だったり、様々なものだったけど、

やっぱり凄くクオリティが高くて、私は一度その前の言葉を聞き逃した。


「え、怪我?」

「どういうことだよ」


クラスでは不穏なざわめきが起こり、私は状況を改めて認識する。


「階段でね、衣装が引っかかってバランスを崩したの。

保健室にいったんだけど、折れてるかもしれないって…」

「折れてるって、骨折!?」

「え、どうすんだよ」

「わ、分からないよ!!」


そんな騒ぎの教室に、担任の先生が入ってきて、今日の所は解散だと告げられた。


文化祭の前日に、明日の劇が上手く行かないかもしれないような

そんな大きな事件が起こってしまって私達は心落ち着かないまま、自宅へと帰ることになった。