だけど…。


今日の学校での出来事を思い出す。


まるで王子様のような皇輝。

私は平凡で目立たない女の子。


そんな私を見つけたと言い、可愛いと言う彼に、

私は夢のような幸せを感じていたのかもしれない。


信じられないと、意味が分からないと言いながら、

どこか幸せで楽しく、

自分を物語の少女と重ね合わせてしまっていたのかもしれない。


だから、私は初めて分かった。

物語の少女は、幸せなんかじゃなかった。


夢の世界なんて知らない方が良い。

一度夢を見てしまったら、知らなかった幸せを知ってしまったら、

それを失った時の悲しみはとてつもなく大きなものなんだ。


叶えられないのなら、

そんな幸せ、知らない方が良い。


物語の少女は、

―――幸せなんかじゃなかったんだ。