「失礼ですが、そちらのお嬢様は…?」


隣国の王女様だと紹介された彼女とバッチリ目が合いました。

自信に溢れた瞳の強さに、少女は思わず俯いてしまいます。


「こちらは、」


黙ってしまった少女を守るように説明しようとした王子様を遮り、王様が言い放ちました。


「迷い込んできたのでしょう。すぐに追い出させます。」

「おい」と王様が一言声を掛けると、周りからたくさんの家来が現れ私を取り囲みました。


「父上、何を言っているのですか。話を聞いてください。」


その家来から私を守るように前に立ち、焦ったように言う王子様。


その後ろ姿は、いつも以上に凛々しく勇敢なのですが、

それでも小さく見えてしまうほど、この場において王様の存在は絶対的なものでした。


王様は、ギロリと王子様を睨みつけました。


「もう、好き勝手できる年齢は終わったのだ。

こちらの王女様を妻とする、お前にはその責任がある。

早くこの娘を追い出しなさい。」

「父上!」


王子様は、納得のいかない様子で言い返そうとしますが、

それを遮るように王様はさらに続けました。


「まだ、自分の立場を分かっていないと言うのか。

この娘を捕えても良いのだぞ。一国の王子をたぶらかしたことは事実なのだから。

いいか、お前はそういう存在なんだ。

お前のせいで、この娘が傷つくようなことになってもいいと言うのか。」


淡々と、冷徹に告げる王様に、王子様は唇を嚙み締め俯きました。