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次の日、王子様は宣言通り、約束の場所で姫を待っていました。


王子様が現れて、ほんの数刻。

美しいサファイアブルーのドレスに身を包んだ少女が王子様の前に姿を現します。


いつもとは全く違う少女の姿を見た王子様は目を丸くしました。


「綺麗だ。」

「勿体ないお言葉です。」


嬉しそうにはにかむお嬢様に、王子様も優しく微笑み返します。


これならきっとお父様も気に入ってくれる。

王子様はそう確信していました。


この日、王子様は、少女を自身の婚約者として、

国王である父と、后である母に紹介するつもりだったのです。


少女は、王子様に手を引かれ、広々とした広間に足を踏み入れました。


見たことのない煌びやかな世界。

ドレスやタキシードに身を包んだ沢山の人たちが笑顔で会話をする様子を少し外から眺めます。


しかし、王子様はその世界の中でもやっぱり目立つ人でした。

王子様がいるとなれば、皆揃って会話をやめ、王子様を見つめます。

慣れない空間と、集まる視線にについつい表情を強ばらせる少女。


「どうした?大丈夫か?」


それに気付いた王子様の優しい声かけに、ハッとして少女はうなずきました。


「あまりにも違う世界で驚いただけです。連れてきてくれてありがとうございます。」


知らない世界ばかり見せてくれる王子様が、少女には本当に輝かしく見えていました。