「やらない」


その声は、思いのほか大きくクラスに響き、

皆は安心したように、「だよね」と言葉を交わす。


「妃花」


後ろから聞こえる、不機嫌そうな皇輝の声に、少しだけ視線を向ける。

真っ直ぐすぎる彼の目を見つめ返すことはできなくて、私は視線を逸らし小さく首を振った。


―できないよ、私には。


口にはしなかったけど、皇輝に伝えたかった言葉。


やっぱり、不釣り合い。


王子をやってほしいと頼まれる皇輝と、姫には似合わないと否定される私。

私達は、一緒にはいられない。


分かっていたことなのに、一度期待してしまったせいで、凄く悲しく傷ついてしまった心。

痛む気持ちに蓋をして、私は心を閉ざした。