――無理だよ。

当然のようにそんな言葉が出る前に、一瞬だけ

姫として皇輝の隣に立つ自分の姿を想像してしまった。


最近は、クラスで会話をすることも多かったし、2人で帰ることも時々あった。

堂々と過ごしているのにも関わらず、以前のような悪口を聞くこともないし、

クラスメイトとの関係も悪くなってはいない。


だから、私は期待をしてしまっていたのかもしれない。


自信を持てと言ってくれた。

周りなんて気にしない態度で、私に接してくれていた。


だから、調子に乗ってしまっていたのかもしれない。


少し期待をした…。

そんな私の心は、いとも簡単に切り捨てられた。


「えー…、妃花ちゃんはいくらなんでも違うんじゃない…?」

「そ、そうだよねえ、だって、主役なんて…それに…ねえ?」


言葉を濁すように顔を見合わせる女の子たち。

男の子たちもひそひそとした声で会話を始め、その内容が良いものではないことは明らかだった。


「やりたいって言うなら否定はしないけどさ…」

「ちょっと、」


はっきりとした言葉では聞こえてこないけど、

否定的なクラスメイトに私は皇輝から目を逸らし、呟いた。