「妃花。おはよ、遅かったねー！」

「おはよう。いつも通りじゃない？」


席が隣になったクラスメイトと慣れたように言葉を交わす。

他愛のない会話の中で先程聞いた噂話が頭を過り私はそれを口にした。


「そういえば、転校生だってね」


その話題はやっぱり既に知っていたようで、


「らしいね、朝からその話題で持ちきりだよ」


と、早くから教室にいたらしい彼女は可笑しそうに笑っていた。


「転校生って目立つから可哀想…。私だったら耐えられないし」


鞄を片付けながら、大盛り上がりに噂される転校生に少しばかり同情する。


「妃花らしいね。目立ちたい子からしたら、まるで主役だし嬉しいんじゃない？考えすぎだよ〜」


勝手に感情移入してしまって、眉を下げる私に、クラスメイトは優しく笑った。