少女たちの新居は、王族が住む町の外れにある、小さな離れでした。


王族の皆様にとっては、昼間の遊びで使う程度の建物だというけど、

少女たちにとっては、広すぎる立派な建物でした。


二階建てのお家なんて初めてで、少女と家族は戸惑います。


「本当にここでいいのか?城にも部屋は空いているんだぞ?」


不服そうな王子様に家族三人揃って、大袈裟なくらいに首を縦に振ります。


「じ、充分すぎます。それに、お城になんて私達は住める身分じゃありませんから…」


少女の言葉に、王子様は不満そうに顔を顰めました。


「何を言っている。俺がいいと言っているのだ、文句を言うものなど居ないぞ」


自信満々な王子様に、少女と家族は顔を見合わせて、可笑しそうに笑いました。


王様を困らしている自由気ままな王子様。

以前、耳に入った噂は、あながち間違いではないようでした。


しかし、その奔放さは、とても温かく、

王子様の良い所だと、少女とその家族は感じ始めていました。