何も言わないけれど、大人びた表情で私の話に耳を傾ける皇輝。

その表情に、なんだかそわそわして、私は早く切り上げるように言葉を続けた。


「と、とにかく!皇輝は目立つし人気者だし、私なんか相手にしていたら、みんな嫌な気にもなるんだよ!」


語気を強めてそう言い切ると、それまで穏やかに私の話を聞いていた皇輝は少し眉をひそめた。

その不機嫌そうな皇輝に、私は不安になる。


「そんなのどうでも良くない?

俺が妃花を好きなのは事実なんだし、周りなんて関係ないよ」


思った通り、少し不機嫌そうに低くなった声で、呟いた皇輝。

普段なら、相手が機嫌を損ねた時点で、その話は切り上げるように話題をそらす私だけど。

私の口は思い通りには回らず、言い返すような言葉を紡いでいた。


「そ、そんなこと言ったって、皇輝は自分に自信があるから言えるだけで私は…」

「妃花だって自信持てばいいんだよ。自信持てよ、妃花は妃花なんだから」


自信満々なセリフに私は、あっけにとられる。

そう言った皇輝は不機嫌そうなオーラなんて無かったように「な?」と同意を求めて笑っていた。


「何それ、答えになってないよ」


呆れ半分だったけれど、笑顔を見せた私に、皇輝は「誰よりも可愛いのになあ」と呟いた。


その言葉に、私は、赤くなってしまいそうなのを堪えて首を横に振る。


「…でも、そういうのね、もうやめてよ。

やっぱり私は、自信なんて持てないし、変に目立つのは嫌なの。

からかうのもやめて?」


小さく、でも真剣に言葉を伝えると、

今までの、突っ張っていただけとは違う態度を察したのか、皇輝は黙って考える素振りを見せた。


その姿に、私はほっとした。


良かった、皇輝も私の真剣さ分かってくれてそう。

きっと、これで終わりにしてくれるよね、、。