「妃花はやっぱ、甘いもの好きなんだ?」

「え…?うん…なんで?」

「いや、好きそうだなって思ってた」


含みのある笑いを見せた皇輝に、私は首を傾げる。


「俺、カスタード食べたい」

「あ、うん、ちょっと待って」


私のたい焼きを見つめる皇輝に、ちぎろうとすると、

その隙間から、彼の整った顔が近付いて、ぱくりと食べかけのたい焼きをかじられた。


「あっ、」

「うん、うま!カスタードも気になってたんだよな、さんきゅ!」


一瞬の出来事に戸惑って、見つめると皇輝はくしゃっと笑った。

呆然と、皇輝に食べられたたい焼きを見つめてしまう。


「なんて顔してんの、可愛すぎ」


そう言われて、私ははっと顔を上げた。


…どんな顔…?

私は自分の頬に触れて初めて、顔が真っ赤に染まっていることを自覚する。


「……っ、わ、私は、そういうの慣れてないから!!」


どうしようもなく恥ずかしくて。

若干怒り気味にそう伝えると、皇輝は、可笑しそうに笑った。


「つぶあんも食べる?ほら」

「い、いらない!」

「えー、美味しいよ?好きでしょ?」

「いいからー!」


私の反応を楽しむように、たい焼きを口もとに近付けてくる皇輝。

その楽しそうな笑顔に、私は怒りながらも、いつの間にか笑ってしまっていた。