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「どんな力を使ったのかしらね」

「あの子だもの、見た目はいいでしょう」

「私も、あの笑顔に騙されたからね」


それから数日たっても、少女への非難の目は変わりませんでした。

けれど、決して外では涙を見せません。

お母さんとおばあちゃんが分かってくれる。それだけでいい。


「あれ、噂のお嬢さんじゃない?裏切り者なんだって?」


町全体で、噂が周知のものとなり、酷い扱いが大衆の総意になってしまってから、

直接的に酷い言葉を浴びせられることも増えました。

心優しい少女は、その一つ一つに傷つきながらも一生懸命生きています。


「…ねえ、無視すんなよ。どんなふうに王子様落としたの?ちょっと俺にもやってみてよ」


相手にせず、足を止めなかった少女の肩を若い男が強くつかみました。

人気もある、普通の町。

知った顔も周りにたくさんいるのに、誰も助けてはくれません。


「離してください…」

「だって、無視して行っちゃうからさ。うん、やっぱ美人だよね、顔で落としたの?」

「………」

「やっぱ無視かあ、じゃあ、この顔傷付けちゃったらもう裏切れないかな?」


にんまりと笑った男に、その友人が小さい刃物を手渡すのが見えて、少女はひどく怯えました。


「い、いやっ、誰か、誰か助けて…っ!」


逃げようとするのも、刃物を渡した男の友人に体を掴まれ、逃げられません。

助けを求めても、周りの人は、観客か、見て見ぬふり。

少女は、遂に涙をこぼしそうになりました。