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王子様が、町を訪れてから半年程。

平穏な時間を過ごし、あの日の出来事が、現実か夢かも分からなくなった頃でした。

予兆もなく、現れた高貴な馬車が少女の家の前で歩みを止めたのです。


いつかのように、通り過ぎていくものだと思い、

見物もしていなかった少女は洗っていたお皿を落とします。


「あっ…」


小さく切れた指先を隠し少女は立ち尽くしました。


きっと、あの日の出来事は夢じゃなかった。


そして、王子様の落としていった装飾をすぐに捨てようとしていた私は、無礼を咎められるのだ。

こんな身分で、王子様と会話をしてしまったことも罪になってしまったかもしれない。

そう言えば顔も見せてしまった。だから身元がバレてこの家が分かったんだ。


なら、せめて、せめて、お母さんとおばあちゃんだけは、守らなきゃ。


動揺する母と祖母の代わりに少女は震える手で家の扉を開けました。