ダンの大きな手が、レインの手を包み込む。

「どうか健やかにお育ちになってください。儂の望みは、それだけです」

 ダンが笑う。このひとは、ここの屋敷のひとたちは、みんなそういう。
 レインが大切なのだと、態度と言葉で伝えてくれる。

 そういうものを受け取る理由がなにもわからないのに、その気持ちは、レインと間違った誰か、ではなく、正しくレインに向けられていると信じられるから、レインはいつだって泣きそうになるのだ。
 目を潤ませたレインにあわてるユリウスとダンに、レインはにっこりと笑った。

「ありがとう、ダンじいや」

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