「どうして……? 変、って思わない、ですか? タンポポなんて、どこにでも咲いているのに」
「どこにでもあるからです。おひいさま」

 ダンは髭の生えた顔でくしゃりと微笑んだ。

「タンポポという花は、一般的には雑草です。雑草とひとまとめにして考える人もおります」
「そう、だから」
「だから、タンポポも名前があり、ひとつひとつ花を咲かせる、ということを知っていることは、すごいことなのですよ。おひいさま。儂はそれを尊いことだと思います」