かわいいと言われてレインは目を瞬いた。
 突然飛び火してきたので、それまで疑問に思っていたことが霧散してしまった。

「おひいさま、何の花が好きですかい。どんな花でも、このダンじいやがきれいに咲かせてみせましょうね」
「ええと、ダン……さん」
「……おひいさま……」
「……ダン、じいや……」
「はい! おひいさま」
「ええと、あの……」

 食い気味に来られて、レインはたじろぐ。最初の、怖いと思った面影はもうない。
 相好を崩し、すっかり笑顔で迫るダンからレインをかばうようにユリウスが立ちふさがる。

「坊ちゃん、なんで邪魔をするんですか」
「ダン、勢いがよすぎる。レインに会えてうれしいのはわかるが、レインがおびえているぞ」
「おっと……それはすみません」

 ダンは目を白黒させるレインに頭を下げた。