「ダン、レインに失礼なことをしてみろ、いくらお前でも許さないぞ」
「かっかっか。坊ちゃんにそんなことできないことは、儂はじゅうじゅう承知です。坊ちゃんが優しいから、このじじいがしっかり見定め……て……」

 その時、ふいに雲が切れて、温室に光が差し込んだ。
 レインの目を見て、ダンがあっと唇を震わせる。

「おひいさま……!」
「おひいさま?」

 レインが首を傾げると、ダンは「ああ、本当に、そういえば面差しが」と何度もうなずいた。
 レインは誰かに似ているのだろうか。そんなことを思ったレインをよそに、ユリウスはそっと唇に指を立てる。

「ダン、その話はあとで」
「ええ、はい、そうでしょうとも。……帰ってこられた、本当に、本当にうれしいことじゃ……。おひいさま、ダンと申します。ダンじいや、と呼んでくれると嬉しいですわい」
「しれっとじいや呼びを提案するな、いくらレインがかわいいからって」
「お、お兄様!?」