屋敷の入り口に集まっていた騎士たちが屋敷の中に駆け入っていく。
 見覚えのある顔の彼らは、アンダーサン公爵家と王家の騎士たちだった。

 まもなく、わめき散らすオリバーが引き立ててこられ、反応のない使用人たちが保護された。

「くそ、離せ! 俺は王子だぞ!」

 オリバーが叫ぶが、騎士たちはそんなオリバーの抵抗など意識にとどめるほどでもないようで、オリバーの抵抗にその体を揺らがせもしない。オリバーは腕に縄をかけられ、罪人然とした様子で馬車にのせられ、引き立てられていった。

 そうして次に、騎士がダンゼントに抱き留められたヘンリエッタへと視線を向けた。

「ヘンリエッタ・コックス嬢ですね。あなたにも逮捕命令が出ております」
「はい……」
「待って! ヘンリエッタは……義母に脅迫されていたの、情状酌量の余地があるわ……!」

 レインの言葉に、ユリウスがおや、という顔をする。

「レインと、コックス嬢、君たちの間で、何か話せたことがあるんだね」
「はい、ユリウス」

 レインのきっぱりとした言葉に、ユリウスが微笑む。

「わかった。きちんと調べて、真実を明らかにする」
「……ヘンリエッタは……」
「今日は、護送しなければならないだろう」
「そんな……」