しゃくりあげるレインをぎゅっと抱きしめて、ユリウスは自身のコートをレインに着せかけた。そう言えばガウン姿だったわ、と思って、レインは泣きながら顔を赤くした。

「お兄様……ユリウス」
「今は呼びたい名前でいいよ」
「すみません……甘えてしまって」
「今は甘えていいんだ。……レイン、がんばったね」
「はい……」

 夜が明ける。やわらかな、紫色の陽光が屋敷に差し込んでいる。レインはそっとユリウスの背に手を回し、抱き着いた。

 この腕の中に、帰ることができたのだと、そんな確信とともに、涙をこぼしながら。

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