「大丈夫です。ユリウスさ……ユリウス。目はきちんと見えています」
「無茶をする……。私がなんでもすると言ったのに」
「ふふ、それでも、信じてくださってありがとうございます」

 暁の虹にざわめく会場に、レインは振り返った。

「ご覧になりましたか? 私の目に宿る、暁の虹を」
「……ッ。ばかな、目がつぶれるかもしれないんだぞ……」
「あなたも、ご覧になりましたね? エウルア伯爵」

 レインは悠然と微笑んで見せた。うろたえたエウルア伯爵も、まさかレインが失明覚悟で陽光石を持ち出すとは思わなかったのだろう。何も言えないエウルア伯爵は、静かに礼をして「申し訳、ございません……」と下がっていった。

 国王がレインを案じながら、けれど場を治めるには今しかない、ということはわかっているのだろう。その声を張り上げた。

「見ただろう! イリスレインが王女であるという証拠を! これより、イリスレインの出自を疑うものは王家への叛意を持つとみなし、厳罰に処す!」