「皆さま、これは陽光石、という、光を透かして、太陽の光と同じ光にするという石です」
「存じております、それで何を……」
「これで、私の目を透かして見てください。疑問に思う方は、お近くに……」

 レインが陽光石に目を近づける。シャンデリアの光が陽光石を通り、レインの目に降り注ぐ。

 ――痛い。集められた光が目を焼いた。

 ユリウスが驚いてレインを止めようとして、けれどその手をぐっと抑える。
 信じてくれている。レインは微笑んだ。ユリウスが、レインのすることを信じてくれている。それだけで、レインはこの戦場に立つことができる。

 陽光石を通して、レインの瞳の赤い色が大広間を染め上げる――そうして、誰かが呟いた。

「あ、暁の虹……!」

 赤い色を背景にして、陽光石の表面に虹が落ちる。驚きの声が大広間を埋め尽くしたところで、レインは陽光石を降ろした。

 ユリウスがすぐにハンカチでレインの目を押さえる。