興味津々にレインたちを見るもの、訝しむような目で見るもの、見定めようとしているもの――そして、先代女王と比べるもの。

 それに一瞬だけ臆しそうになるけれど、ユリウスがレインの手を柔らかく握って、安心させるように微笑んでくれるから、それでレインはほっとして、顎を引き、背筋を伸ばして前を向いた。うまく笑えているだろうか。

 そうしてレインがあたりを見渡し、優雅に一礼すると、ため息をつくような吐息が、さざ波のように広がった。

「みんな、レインの美しさと、堂々とした態度に圧倒されているんだ」

 目を瞬いたレインに、ユリウスが言った。誇らしげな表情は、レインがうまくやれたことの証だった。
 国王が話し始める。

「今宵は我が姉君である先代女王陛下の遺児、イリスレインのお披露目に参加してくれて感謝する。誘拐されて十五年……無事に帰ってきてくれた王女を、どうかあたたかく迎え入れてほしい」

 レインに視線が集中する。レインはなるべく優雅に見えるように微笑み、そっと胸に手を当てた。拍手が沸き起こり、確かに、先代女王陛下によく似ておいでだ、と声が聞こえる。

 それでほっとしたレインだったが、しかし、不意を打つように「恐れながら、陛下」と一人の貴族が進み出て来た。