(これが、女王になるということ)

 レインはきっぱりと定まってしまった序列――王位継承権をまじまじと確認した気がして、小さく息を呑んだ。
 ユリウスがレインに手を差し出す。

「さ、行こうか、レイン」
「……はい、ユリウス様」

 ユリウスの手のひらに手を重ねて、レインはゆっくりと前を向いた。

 大広間に入るとすぐに目に入り込んでくる、きらびやかな調度品に、レインは一瞬気おされそうになった。
 数えきれないほどのシャンデリアがきらきらと輝き、クリーム色の壁を明るく照らしている。いたるところに飾られた白いユリの生花はいい匂いを振りまき、椅子や像など、こまごました調度品が邪魔にならない程度に飾られている。それらはレインが一目見てわかるほど高価な物ばかりで、ひとつひとつが国宝と言ってもいいものだった。

 それだけで、どれほどこのパーティーが重大行事だととらえられているかわかる。
 大広間に足を踏み入れたレインたちを迎えたのは、もちろんあたたかいまなざしばかりではない。