ユリウスが微笑んで、レインの背を優しく叩く。
 レインはユリウスの顔を仰ぎ見て、ほっと息をついた。ユリウスは、ユリウスの髪色に合わせた群青のタキシードを着ていて、ところどころにレインの髪と同じ、薄青い色の差し色をしていた。
 よく見て見ればその意匠は雨の雫のような形になっていて、レインの身に着けているイヤリングやネックレスと取り合わせているのだとわかった。

 互いの色を身に着けているのだと気づいたレインの頭は途端にゆだってしまって、暗い室内でもわかるくらいに赤く染まった。この暗がりにごまかされてはくれないかと、赤く染まった頬を恥ずかしく思ったレインは念じたけれど、ユリウスの微笑からしてごまかせてはいないのだろう。

「レインはかわいいね」
「ゆ、ユリウス様……!」

 顔が熱い。やはりユリウスに隠し事はできない。
 ユリウスはそうやって恥ずかし気にうつむくレインに優しく、言い聞かせるように言った。