そのためなら私は助力を惜しまないわ!と笑った母は無邪気な少女の顔をしていた。
 母はヘンリエッタにすべてを与えてくれた。ヘンリエッタは母の言う通りにした。母に喜んでほしかったから。

「私ね、昔王城で侍女をしてたの。ヘンリエッタを邪魔してくる悪役令嬢を奴隷商人に売ってやったわ。ステータスが高いからなかなか対処が難しいのよね。なぜか女王と王配が死んじゃったけど……ま、ゲームの修正力があるから大丈夫でしょ。むしろオリバーが王太子になっちゃったりして!? わ、それって最高!」

 ヘンリエッタは母がヘンリエッタのためにそれほど努力してくれたのだわ、と思って、にっこり笑った。そうすると母は少女のように満足そうに笑ったから、ああ、これでよかったんだわ、と思った。
 母の膝に抱かれ、母の選んだ服をまとい、ヘンリエッタらしいしぐさを身に着ける。