「…うん。大丈夫」

そっと先生の手がおでこから離れた。

「…ケホッ」

「袋、これ使って」

先生は気づいて袋を広げて口の少し下に用意してくれる。

「…うぅ…」

どうしよう、このままじゃ吐いちゃう。

でも先生には、見られたくない。

嘔吐物は、絶対に見せたくない。

「…ごめ…せんせ…」

「だから俺は大丈夫だって。」

そう言って私を抱えている手で優しくさすってくれる。

「うっ…!」

…堪えられなかった。

吐いてしまった。

先生の、前で。

「ケホッ、ケホッ、」

涙目になりながら力が入らない手で先生の服を掴む。