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「うぅん……」
いったいどれだけの時間が経っただろうか。
昼休みもそろそろ終わるだろうし、早く戻らなきゃ……と呑気に考えて、やがてハッと目を覚ました。
「たっ、大変!」
少し休むだけだったのに、まさか眠ってしまうなんて!
ガバッと起き上がろうとして、その直後に異変を察して硬直した。あれ、おかしいな。気のせいじゃなければ、なぜか身体が動かないんだけれど……。
「……うん?」
ピタッと硬直して数秒、まず初めに気が付いたのは、お腹に巻き付く謎の重みだ。
見下ろした瞬間、またもや硬直しながら「ひぅっ」とおかしな声を漏らす。
ムリもないだろう。なにせお腹に巻き付いていたのは、筋肉質な男の人の腕だったのだから。
「え、なっ、なにっ!?」
よりにもよって、触れているのは男の人の腕なのだ。
何より男の人が苦手な私にとって、それはあまりにも耐えがたい衝撃だった。
「ひっ、は、はやくっ……」
はやく、とにかく早く、ここを抜け出さなきゃ……!
咄嗟にそう思い、光の速さで動いてソファを抜け出す。
音もなくそろりそろりと後退りながら、背後から私に抱きついていた男の人の正体をこっそりと確認した。