「──はっ!」


ハッと我に返った時には、既に身体がソファの前まで進んでいた。

いつの間に部屋に入ってしまったのだろう。ぐるぐると脳内で言い訳を呟いている間に、無意識に足を進めてしまっていたみたいだ。


「うぅっ、絶対だめだけど!」


ぐぬぬと呻きながら、あくまで不可抗力なんです!という顔をしながらソファに腰掛けた。


「はわっ、ふかふかだぁ……」


遠目で見た通り、ソファは人をダメにするタイプの極上っぷりだった。

たちまち身体からふにゃあっと力が抜け、ぱたりと倒れ込む。

ソファはベッドかと思うくらい広いから、背もたれ側に詰めれば二人くらいは余裕で寝転がれそうだ。


「ちょっとだけ、ちょっとだけ……」


そう、ちょっとだけ。ほんの数分寝転がったら、すぐに部屋を出るから。

そう思いながら、うとうとと次第に重くなる瞼を伏せる。内心マズい!と焦ったけれど、焦りも虚しく意識は徐々に遠のいていった。