もごもごと小さく呟いたのは、自分でも情けないなと呆れるような言葉だった。
きっと目の前の彼も、何を陰気なことをと呆れているだろう。
そう思いながら視線を上げて、ハッと目を見開いた。そこにあったのは、予想していたような呆れ顔じゃなかったからだ。
「あぁ、そういうことか。いや、悪い。今のは俺が悪かった」
心の底から申し訳なさそうな顔をする彼を見て、ぱちくりと瞬いた。
なんというか、少し失礼だけれど、正直あっさりと謝罪の言葉を口にするようなタイプには見えなかったから。
傍若無人そうな雰囲気といい、今みたいな返答はしないと思っていた。
予想外の反応にたじろぎながらも、慌てて我に返り首を振った。
「い、いや。別に責めているわけじゃ……本当に、あなたのせいじゃないから。というか、友だちがいないとかは、完全に自分のせいだし……」
苦々しくため息を吐く。そう、後半の愚痴に関しては完全に自己責任でしかない。
私が臆病でコミュニケーションが苦手というだけ。ひとりぼっちなのは自分のせいでしかないのだから、彼が謝る必要なんて何もない。
そう言うと、彼は丸くしていた瞳を細めて微笑んだ。
「お前、優しいな。端から逃がす気はなかったが、ますます興味が湧いてきた」