『同じ顔で、全然見分けつかねえよな』ってクラスのヤツらはよく言ってっけど。

 は? 全然ちげーよ。

 奈々と寧々は、なにからなにまで違う。

 似てるとこなんて、どっこもねえよ。


 俺が好きなのは、ずーっと奈々だけだ。


 奈々が言ったんだからな。

『いくら離れてたって、きっと好きって気持ちはなくなったりしない』って。

 俺の気持ちだって、絶対になくならない。

 だったら、もう伝えるしかない。

 たとえうまくいかなくたって、なかったことにするよりずっといい。

 やっと決心できたよ。奈々のおかげだ。


 今日、あの店でこっそり追加で買ってきたバースデーカードをそっと開く。

 気の利いたことなんて、俺には書けない。

 ま、アイツも相当ニブイしな。

 だから、ミモザ柄のクッションなんかやれたんだけどさ。

 アレの意味に気付かれたら、さすがに恥ずかしくて死にそうだわ。


『奈々、俺と付き合って』


 シンプルにそれだけ書くと、俺は奈々への誕生日プレゼントの箱の下に、そのバースデーカードをそっと忍ばせた。



(今度こそ、本当におしまい)