それなりに努力しているつもりだし
褒められて嬉しいけど。

今日合評で褒められたの、私が初めてだし。


気持ちのこもっていない高評価をもらうのはいつものことだが、なんだか力が抜けてしまって足元がおぼつかない。


これでいいのだろうか。
手応えがない。



「次」



流れるように終了した私の評価の時間。

あっという間に次の人の番となった。


私の次は野田だった。



私の描いた絵の横に、野田の絵が置かれる。



上手い。

ひと目見てわかる。

光の入り方、空間の捉え方
野田のキャンバスに描かれていた野菜たちは、みずみずしく美味しそうに見える。



「言うことないね」



担任の評価も相応だ。


野田はレベルが違う。
本人が持っているポテンシャルが良すぎる。
努力で多少は賄えても、全然追いつかない。



「じゃあ今日はここまで」



褒められたのに全然心が踊らないまま、自分のつま先を見つめていると、いつのまにか授業は終わっていた。


片付けをしながら野田を盗み見る。
あくびを噛み締めている彼は、眠たそうに片付けをしていた。


あんなに気だるげなのに、評価は一番。

なんでこうも神様は優しく無いのだろうか。

私にも野田みたいな才能があったら、もっとはやくに素晴らしい人になれたのかな。