そうすれば、どんどん上手くなるって
父が言ってたから。


年を明けてすぐにあった、大学入試ではあっけなく第一志望に落ちてしまったわけだけど。


今となってはそのルールも、何のためにあるかわからない。



「おす」



後ろから声をかけられて、思わず肩が震える。



「今日も早いなー、相変わらず。よくやるよ」



今年受験を控えている野田が、呆れ声でつぶやいた。



「おはよ。野田、今日学校は?」



平日の昼過ぎだというのに、真っ当な高校生が
こんな薄暗い場所で何してるんだ。



「テスト期間」



あぁ、なるほど。
と野田の回答にゆっくり頷いた。



テスト期間なのに、なんとまあ真面目で優等生。


野田も私と同じようにそこら辺にあった木椅子を運び、近くに腰を下ろした。


そしてそのまま携帯をいじり出す。


携帯ゲームのチープな音が、私の動かす鉛筆の音に混じっていく。



「鷹宮はまた日美(にちび)受けんの?」



ケータイから目を逸らすことなく野田が聞いた。



「うん、まあ」



「ふーん」