柳はパラソルの下に置いてあったビーチタオルの上に腰を下ろした。
水着は着ているようだけれど、上にはTシャツ、そしてキャップをかぶっている。
「え、柳海入んないの?」
薄い色付きのサングラスの奥の瞳が少々気だるげな色になる。
「海、好きだけど、人一倍日焼けで痛くなるから海水浴は苦手」
柳はそう言って太陽を見上げると顔を少しだけ顰めた。
「もう少し日が落ちてから行く」と、断られてしまう。
「柳も苦手なものあるんだ」
ふーん。と呟くと、ちろりと睨まれる。
「…はぁ、ここでアンタを見てるから」
「落ちてるガラスとかに気をつけるように」と、子供に注意するみたいな警告を受け、私は熱い砂浜を蹴って海にいる2人の元へ駆け出した。
海の水は思ったよりも冷たくて気持ちがいい。
足の裏で感じる濡れた砂浜。
押し寄せる波が私の体にぶつかってくる。
跳ねた雫が口の中に入ると、ちゃんとしょっぱい。
蘭子さんと由井くんと、子供の頃に戻ったみたいにはしゃぎ倒し、思いっきり遊んだ。