「これ、葉月さんも良かったら食べてくださいねー」と、あさひくんがテーブルの上に乗ったピザやフライドポテトの皿を寄せてくれた。
「何はなしてたの?」
「由井さんと、暇だなーって言ってたところッス。夏休みだってのに、暇で暇でしかたないって感じです」
あさひくんが唇を尖らす。
「そっ、なんか夏っぽいことしようぜ。今度BBQしね?海で」
「海!BBQ!やるしかナイっす」
柳を見ると、アンタがしたいなら
といった表情だ。
無言で会話を聞いている。
「わたし、BBQとか、やったことなくて…」
やり方が、わからない。
お肉を焼くのは知っている。
「マジで言ってんの?」と由井くんがつっこむ。
「なら、しなきゃデショ。葉月ちゃんの初BBQ」
「今まで、絵しか描いてこなかったから、そういうのやったことなくて…。人こんなに関わるのも、遊んだりするのも…全然経験がなくて」
だから、やりたい。と言う前に
「じゃあ、やろーぜ」と由井くんがニヤリと笑った。
「葉月ちゃんがやりたいこと、全部やろう。何したい?」
「えっと…、なんだろう?誰かと買い物、とか…テーマパークに行ったり、とか…?」
「よっしゃそれこの夏で制覇しよう」