綺麗。
もっと綺麗な色を。
ひたすらに、紙の上で色を混ぜつづけた。
やっていくうちにだんだんと感覚が掴めるようになり、ここにはこの色がいい、この部分だけ明るくしよう。
そんなことばかり思いうかんできて筆が止まらない。
先生の奥さんがお茶を持ってくるころには一枚の絵ができていた
私はとてもおどろいた。
何をモデルにしたわけでもない、ただ、私がが自由に描いた絵、色、線が。
全てが混ざり合って一枚の絵になった。
「うん、きれいだね」と二階堂先生がほめてくれる。
先生のいうとおり、綺麗だと思った。
夜が明けた空のように見えるその絵は、とてもとてもきれいだった。
はじめてだ。
これでいいんだ。
これが、私の絵なんだ。
胸が高鳴って、背筋が伸びた。