いつもだったら床に突っ伏すほど悔しがるのに。
今日は黙って画面を見つめるわたしに疑問を持ったんだろう。
横からそっと覗き込んでくるブラウンの2つの瞳。
どうして、こういうときに限って。
わたしの理不尽な悪態は喉の奥で止めた。
『……ごめん、今日はもう帰るね』
『え、まだセット数残ってるけど』
『……うん。体調、わるい……』
は?とでも言いたげな顔。
最後の方は語尾も震えてしまって。
泣きそうになってるのバレてないかな。
『……ひまり、』
引き止める声も無視して彼の家を出る。
堪えきれなくて嗚咽とともに涙が出てきてしまって、高校生なのに道路で泣いてしまった。
君は一生気づかないかな。
わたしの体調不良が嘘ってことも。
君の好きな人が2組の可愛い橘さんって分かって傷ついたことも。
私が君のことを、
ずっと前から好きだってことも。