『……2組の橘さん』
『そー、なんだ』
笑っていたはずの顔がひきつる感覚。
別に予想が外れたわけじゃないのに、聞かなければよかった、なんて思うのは。
わたしが君のことを好きだから。
そんなわたしを横目に、
ピコピコと器用にゲームのコントローラーを動かす隣の男。
どうしよう。
指に力が入らない……。
操作主を失ったテレビ画面に映るキャラクター。
赤がトレードの某有名ゲームキャラにあっさりと倒されてしまった。
『は、なにやってんの、』
笑いながら言われたけど、
同じものを返す余力はもうない。
キャラクターのHPはもうなくて、わたしの心の状態みたい。
『……ひまり?』